レーザーを使用しているうちに、一つのことが発見されました。我々の毛には黒い色素がありますが、毛を生やす元の細胞、すなわち毛母細胞にはメラニン色素がありません。したがってこれを直接の標的にしてレーザーで破壊することはできないのです。ところが、少し長めにレーザー光を照射すると、毛に吸収された熱が毛の周囲にある毛母細胞に伝わり、これを破壊します。そして上手に時間を調節すると毛母細胞は破壊されるけれども、その更に周囲の正常組織は破壊されない、ということが起こるのです。これが現在広く行われている「脱毛レーザー」の原理です。一方、太田母斑という、顔にできる青黒いあざをノーマルパルスのルビーレーザーで治療していた時代のことです。あまり出力を強くするとやけどになるので、やけどにならない程度の出力で、何度もレーザーを照射していたところ、レーザーを照射していた側の皮膚の「きめ」が細かくなり、またしわもなくなってきたのです。当初は何故このような現象が起こるのかわかりませんでした。ところが時代が変わり、人々が「アンチエージング」すなわち「老化」という、病気ではないものまで治療の対象として求めるようになったとき、この現象は「しわとりレーザー」の原理として注目を集めるようになったのです。