住宅システムの中立化

2011-12-30

戦後日本の住宅システムは住宅所有を拡大し、社会のメインストリームを押し広げてきた。そこでは「普通の人生」のモデルに沿って生きようとする人たちの持家取得の促進が優先した。結婚して家族をもち、雇用と所得を確保し、そして住宅所有によって資産を形成する、という暮らしの軌道の敷設がめざされた。しかし、持家社会の環境は二〇世紀の末から大きく変貌した。住まいの「梯子」はぐらつき、標準パターンのライフコースを歩む人たちは減り続けている。

[参考サイト]
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若い世代では世帯形成者が減少し、増大する世帯内単身者と単身者は「梯子」を登っていない。女性の多くは婚姻関係を通じて「梯子」にアクセスし、「男性稼ぎ主」の持家に住んでいる。しかし、経済力をもつ女性は自身の住宅資産を所有し始め、そして同時に、住む場所の確保さえ容易ではない無配偶女性が増えている。バブル経済が破綻して以来、キャピタルゲインを生んでいた持家はキャピタルロスの源泉に転化した。ベビーブーマーの「梯子」は住宅資産の形成に結びついたのに対し、ペビーバスターが取得した持家の資産価値は大規模なデフレに見舞われた。若い世代に増えたのは、資産としての安全性がより低い持家のために、より大きな債務を負う人たちである。彼らの住宅所有が資産形成に役立つとは限らない。問われているのは、住宅システムを社会変化にどのように埋め込み直すのかという問題である。