科学技術が著しく進歩して現在の物質的繁栄をもたらしましたが、それが環境の破壊、資源の枯渇、放射性物質による危険性など、人類を含む生態系全体の崩壊の危機を促したことも確かです。その矛盾の根源の一つが目先の経済性だけを重視した学問や技術の専門分化であるといえます。生産技術は各産業別になってしまって、学会なども極めて細かく細分化されており、境界領域が大切だといってもせいぜい二、三の関連分野との連携にすぎません。研究者もあまりグローバルな観点で研究しても評価されませんので、重箱の隅をつつくような研究に終始してしまっています。大学教育はどうしても専門化した先生が担当しますので、競走馬のような一方向しか見ない卒業生を世の中に送り出すことになります。そのため、ある技術を開発すれば、生産、利用、廃棄の全過程で、環境や資源がどのように影響を受け、本当に人類に幸せをもたらすかどうかを考えなくなっています。このままで進歩らしいものを追い求めていきますと、さらに恐ろしいことになるのではないかと心配されます。