「1勝9敗」と「9勝1敗」閑話休題

2011-06-20

大分や千葉ニュータウンでしまむらが苦戦しているケースを挙げ、それをどう捉えているのか、あえて私はFにもGにも直接その質問をぶつけてみた。彼らは、「それぞれ各社の考え方があって切磋琢磨すればいい。でも(1000坪型では)結局、儲かる仕組みが作れない。少なくともそういう儲からないものは、ウチは絶対にやらない」と見事に口を揃えた。たしかに今のしまむらが描く市場、営業、オペレーション、経営戦略上からは、メガストアは明らかに間尺に合わない不合理な業態に映るだろう。現況の300〜350坪スタイルが、しまむらが行き着いた一番効率のいい黄金率的な業態規模だからだ。それにしても、「儲からないものはやらない」−しまむらの幹部の誰からも聞く、ある種の企業文化だ。これが同社の凄さであり、また限界でもある。ある時は大変性能の良いハンドルにもブレーキにもなり、逆にここぞという時、「安全装置付きアクセル」としてその限界を露呈する……。何の脈絡もなく、私の頭の中には、Yの著書『一勝九敗』が浮かんだ。たしかにユニクロが今あるI勝は、他の(儲からなかった)9敗が下支えしているのかも知れない。逆にしまむらは、最低でも「9勝1敗」が求められる企業なのである。本質的にそのどちらが良くてどちらが強いのか、私には分からない。ここで言えることは、それが企業と経営者の関係からも宿命であり、必然ではないかということだ。YもFも業態の創業者ではあるが、Yはそれに「オーナー」の4文字が加わる。対するFとGは、あくまで「サラリーマンコンビ」だ。それが「1勝9敗」と「9勝1敗」への分岐点かも知れない。そうした面からも、ユニクロとしまむらはまさに対極にあると言える。