会ったことのない女性から手紙をもらったときなど、文字がきれいだと、不思議に聡明な美人を連想するものだ。反対に、きたない、へたな文字を見ると、中身のよしあしとはかかわりなく、なにか幼稚な人柄に思えてしまう。実際には、頭のよしあしと字のうまいへたとは何の相関関係もないものだ。著名な作家に悪筆が多いことも、よくいわれることだし、一流大学を出ていても、○○文字しか書けない人もいる。これで人間を規定してしまってはいけないが、それを見て受ける人の。印象というものだけはどうにもならない。「これは頭のよさそうな字だ」「きっと利口な人だよ、いい字を書いている」。これらは、人事担当者が、応募書類を見てよくいうことだ。きれいな字に対する彼らの印象は、おおむね良好で、字が上手な人は、それだけで、書類選考や面接でかなり得をしている勘定になると思っていい。人事担当者は、いわゆる事務屋さんタイプだから、字の上手な人が多く、そのために、こんどは逆に、字のきたない人への印象は手きびしくなる。「なんだこの字は、これでも大卒か」、一度こう思われてしまうと、どうにもこの印象を拭い去るのはむずかしくなってしまう。こういう意味で、応募書類の字には神経を使うにこしたことはない。しかし、字のうまいへたは、一朝一タにはどうにもならない。へただからといって代筆してもらうわけにもいかない。
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