輸入企業の行っていた外貨預金は、「ドル高円安」に対するリスクを回避するテクニックです。輪出企業の行っていたインパクト・ローンは、「ドル安円高」に対するリスクを回避するテクニックです。こういった、為替変動リスクを避ける(回避する)ことを「ヘッジ」と言います。外貨預金やインパクト・ローンは、ヘッジ手法の1つです。このヘッジ手法が流布することで、為替変動リスクを回避するだけではなく、為替変動リスクを利用して利益をあげるための手法として発展するようになっていきました。つまり、先々「ドル高円安」になることが予想される場合には、外貨預金をすれば、為替差益を得ることができます。逆に、「ドル安円高」になることが予想される場合には、インパクト・ローンを組んでそれを円転し、円預金をすれば、為替差益を得ることができます。このように、為替変動リスクは、損得が表裏一体の“諸刃の剣”でもあるのです。為替には変動が付いて回ります。その変動が自分にとって不利になる場合は、損失になります。通常は、それを「リスク」と呼びます。しかし、その為替変動が自分にとって有利に働けば、「キャピタル・ゲイン(為替差益)」、つまり「リターン」となるわけです。為替が変動しなければ、リスクもリターンも、ありません。大手の輸入企業や輸出企業は、こういった為替変動が、利益をもたらすことがあると、早くから気が付いていました。ですから、大手商社、大手の輸入企業、輸出企業は、外貨預金やインパクト・ローンといったヘッジ手法を駆使して、利益の追求に励んでいたのです。あくまで業務の一環ですから、巨額の為替変動リスクを取ることはありませんが、マーケット(外国為替市場)の値動きを読み、さまざまなファンダメンタルズを研究して、外貨預金やインパクト・ローンを有効活用していたわけです。一方、個人投資家は、外貨のインパクト・ローンを組んで、為替変動リスクを積極的に利益(リターン)に結び付けることまでは、思いつかないのではないでしょうか。個人向けの外貨預金は、すでに普及しています。しかし、個人が外貨預金をする場合に、その円資金を調達するために円ローンを組んで(つまり、借金をして)、その資金で外貨預金を設定するところまで、考えることはないのではないでしょうか。一時期、個人の外貨預金がブームになりましたが、それでも、まだ、積極的に円キャリー・トレードが行われたとは言えない状況だった、と思います。個人の外貨預金がブームになった理由は、円金利があまりに低利なので、金利(利息)欲しさの。飢餓感”がきっかけとなって、外貨に投資することに注目が集まるようになったからではないか、と考えています。外貨預金がブームになったことで、外貨に投資をすれば、金利(利息)を得られることに、個人投資家は気が付きました。そして、「より有利な外貨投資の手段はないか?」と、外貨建ての金融商品を探し始めるようになったのです。